
地球環境基金便り No.51 (2021年9月発行)
「オオサンショウウオの保護の考え方は二つあります。一つは繁殖用の人工巣穴を作るなど、オオサンショウウオに注目した保護の考え方。もう一つは、周りの生物や植生も含めた大きな生態系として、エリア全体を保全していくという考え方で、私たちは地域全体の生態系の保全を進めています」と徳永さんは言います。良好な自然環境が残る河川域およびその背後地となる森林域を生態系保全区(サンクチュアリ)として位置づけ、そこで自然観察会などの活動を行うことで、保護活動を広くアピールすることができます。
徳永さんは「繁殖に適した自然環境の残る河川をハンザキサンクチュアリ(オオサンショウウオ重点保護区域)に指定して、それぞれの場所に合った環境保全計画を策定し、川に本来の生態系を取り戻す活動を進めていく予定です。この活動によりオオサンショウウオの暮らす川を蘇らせ、清流の環境をつなぐ『水と緑の回廊』を再生するとともに、多くの人にオオサンショウウオに会いにきてもらうことができればうれしいです」と今後の展望について語りました。
お話を伺った事務局長の副会長の谷口真一さん(左)と徳永 巧さん(右)
生態系保全活動その1: 夜間観察会に多くの親子が参加
オオサンショウウオは夜行性のため調査は夜間に行うことが多い。昨年は多くの人が参加しやすい観察会として開催し、同時に調査も行った。観察会は年間8回開催、200人以上が参加した。
生態系保全活動その2: 子どもが参加できるフィールドづくり
保護活動の拠点となるフィールドづくりは5カ所で行い、今後も増やしていく予定。このような環境整備によって、オオサンショウウオだけでなく希少な生き物の観察ポイントとしても活用できるようになった。
生態系保全活動その3: 生物とふれあえる自然体験学習会
感染症対策を行ったうえで自然体験学習会「真庭清流自然学校」を実施。多くの親子に自然体験を楽しんでもらえた。オオサンショウウオの生息地の美しい景観や豊かな自然が広く知られるきっかけになった。