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地球環境基金便り No.52 (2022年3月発行)

特集 再生可能エネルギーの現在と未来
~脱炭素社会の実現に向けて~

NGO・NPOの活動事例から
特定非営利活動法人 若桜・こらぼ企画

自然エネルギー学校での学びを生かし
住民の力でつくった小水力発電設備が完成

写真1

小水力発電施設設置作業で最も大変だったという、導水管接合作業の様子

鳥取県東南端に位置する若桜町は、過疎・高齢化が進む典型的な中山間地域です。そんな若桜町を豊かで住みよい町にしたいという思いで設立した当団体は、発足当初から活動の柱の一つとして自然エネルギーの普及活動に取り組んでいます。町には鳥取県内でも有数の水資源があり、その水資源を生かした小水力発電を住民主体で行い、環境保全と売電収益による地域振興につなげたいと考えたからです。

しかし小水力発電の導入には土木や電気、機械などの技術や経営、資金調達などのノウハウが必要です。これまで町内に導入実績がなく、ノウハウをもつ人材もいませんでした。また地域の公共財である水資源の活用には当然、地域住民の合意形成も重要です。そこでまずは、自然エネルギー活用への理解を深め、取り組む人の増加を目的に、小水力発電導入手法を学ぶ「自然エネルギー学校」を企画しました。

小水力発電設備を住民主体でゼロから作り上げる

写真2

発電開始を記念し、発電した電気を用いたイルミネーションの点灯式を開催

自然エネルギー学校は、NPO法人地域再生機構からプログラム提供や講師派遣など全面的な支援を受けて実施しました。対象地域は町内でも特に小水力発電設置に適した糸白見(いとしろみ)集落です。参加した住民のなかには土木事業に従事している人もいましたが、ほとんどがゼロからのスタートでした。

自然エネルギー学校は2年間で、1年目が基礎編、2年目が実践編という構成です。基礎編は小水力発電の仕組みや水車の種類、計画の立て方や調査方法、関連する法律など開発のすべてを幅広く学ぶ座学のほか、実際に河川の水量を測る手法を学ぶなどのフィールドワークも実施しました。そして実践編では、小規模ではありますが実際に発電設備を設置しました。測量から設計、資材の調達、製造、設置作業まで、講師の力を借りながらも、すべて自分たちで作り上げ、2020年11月に完成。開発プロセスすべてを実体験することでノウハウを得られたのはもちろん、トラブルが起きても外部業者頼みではなく自分たちで対処が可能になりました。

今後は完成したこの発電所を活用し、町内外の幅広い世代が小水力発電の仕組みや環境について学べるプログラムを検討したいと考えています。そしてこの発電所をモデルとして、小水力発電の取り組みが他の集落へと波及していくことを目指します。

エネルギー事業を通じて持続可能な若桜町をつくる

写真3

上園由起さん

小水力発電の導入は目的ではなく、あくまでも手段です。最終目標は、地域住民主体のエネルギー事業による地域振興で、町民が安心して暮らし続けられる持続可能な若桜町をつくることです。若桜町には水だけでなく森林資源も豊富にあるため、将来的には木質バイオマス事業に取り組める可能性もあります。「電気代ゼロ円の町」「CO2排出ゼロの町」など未来像を描きながら、課題を一つずつ解決していき、夢の実現を目指して今後も活動を継続していきます。

特定非営利活動法人 若桜・こらぼ企画

活動名
若桜町における実践型自然エネルギー学校(小水力発電)の開催
団体所在
鳥取県八頭郡
SDGsの目標
  • 13 気候変動に具体的な対策を

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