地球環境基金便り No.54 (2023年3月発行)
損害保険事業において国内トップシェアを誇る、MS&ADインシュアランスグループ。その中核保険会社のひとつである、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、事業を通じて、社会・地域課題の解決に取り組むなど、新たな保険の価値創造に挑戦しています。社員一人ひとりが月々100円から参加できる募金制度「MS&ADゆにぞんスマイルクラブ」を通じて、地球環境基金へもご支援をいただいています。環境保全や社会貢献につながる、ユニークな保険商品や取り組みについて伺いました。
今、世界中の企業が取り組んでいるように、私たちもSDGsを道しるべに「レジリエントでサステナブルな社会」の実現に向けた、さまざまな取り組みを進めています。その核となっているのが「CSV×DX(シーエスブイ バイ ディーエックス)」という考え方です。CSV(Creating Shared Value)は「社会との共通価値の創造」の意味で、事業を通じて社会課題を解決することから生まれる社会価値と企業価値を両立させること。DXはデジタルトランスフォーメーションで、データやデジタル技術を活用し、価値提供を変革させることです。
具体例を挙げてわかりやすくご説明します。当社の「テレマティクス自動車保険」は、ドライブレコーダーやGPS機能などを搭載した小型の通信車載器を通じて、ドライバーの運転状況をスコア化し、スコアに応じて保険料の割引が適用される商品です。運転状況が見える化され、安全運転意識が向上し、事故を未然に防ぐことにつながっています。
従来の自動車保険は、万が一の事故に備えて加入する、いわば「事故のあとの保険」でしたが、テレマティクス自動車保険は、データ・デジタル技術を活用した「事故を未然に防ぐ保険」というわけです。
はい。さらに、このテレマティクス自動車保険を通じて得られたデータは、「交通事故リスクを減らす」という地域課題の解決にも役立っています。ある自治体では都市計画道路整備に伴う交通環境の変化により、新しい危険要因が発生していました。その対応として、テレマティクスデータを活用し一時停止の遵守傾向や急減速発生率の分析を実施。「止まれ」標識の設置等、交通安全対策の検討などに活用されています。
保険を通じて、個々の事故を予防するだけにとどまらず、さらに、地域課題も解決し、快適なモビリティ社会の実現にも貢献する。また、安全運転はCO2排出量を減らすエコドライブの促進に、事故の低減は修理部品や廃棄物の減少にもつながることから、気候変動課題にもアプローチしています。私たちは皆さまとともに保険の価値を進化させ、その価値の連鎖でより良い未来をつくることに挑戦していきたいと考えています。
【テレマティクス自動車保険における効果】
テレマティクス自動車保険は、ドライブレコーダーやGPS機能などのデータ・デジタル技術を活用して事故を未然に防ぎ、万が一の事故の際には自動通報サービスや、データを活用した高度な事故対応により迅速・的確な事故解決を支援する保険です。