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いつもの行動チェンジ! No.57 2024年12月発行

地球環境基金便り No.57(2024年12月発行)

いつもの行動チェンジ!

総括インタビュー

さぁ今日から、自分たちから。こんな環境アクションをあたりまえにしよう!

2030年「SDGs 17のゴール」、2050年「カーボンニュートラル」実現など、持続可能な社会に向けた目標年が、近づいてきました。私たちが暮らしの中で環境のためにできる選択肢も増えています。シェアリングエコノミー協会代表理事の石山アンジュさんに、今日から始められる環境アクションについてお話を伺いました。

資源を浪費せずに「シェア」することで持続可能な循環型社会を作っていけます

所有から、シェアへ
身近な行動をチェンジ

 私は現在、東京でシェアハウスに暮らしながら、全国各地で多拠点ライフをおくっています。シェアハウスでは、都心でも手軽なバッグタイプのコンポストを活用中です。最近はシェア畑などもありますし、多くの人が半自給自足のライフスタイルにシフトすると、フードロスへの意識が高まるうえ、モノの運搬によるCO2排出量も減らせます。
 また、日常的にタンブラーを持ち歩いたり、食品用ラップは再利用できるシリコンシートを使ったりもしています。
 ファッションでも、土に還るサステナブルな素材を使った服やエシカルジュエリーを選ぶようにしています。ただ、どうしてもまだ割高です。手軽なのは、ファッションのシェアサービス。特に出番が少ない冠婚葬祭用の服やバッグなどは個人で所有せず、シェアリングがおすすめです。ひと月に1~3着を選べるサブスクリプションタイプのシェアサービスもあり、男性向け、スーツ専門など細部化も進んでいます。成長の早い子供服やアイテムは、ネットフリーマーケットでのリユースも便利です。
 旅に関しては、旅先で仕事をするワーケーションや、使わなくなった古民家などをリノベーションして宿泊施設にする民泊など、旅をしながら暮らすような仕組みも増えています。遊休施設をカフェ、オフィス、民泊などに、空間をシェアしながら活用する取り組みは、多くの地域が抱える空き家問題の解決にもつながります。
 私たちが提唱している「シェアリングエコノミー」は、このように「モノ」に限らず、空間・車・自転車などの「移動」、隙間時間のアルバイトや家事・育児・介護の代行といった「スキル」も含みます。クラウドファンディングなども、いわば「お金」のシェアです。地球環境のためにも、こうした「シェア」の思想をベースにした、持続可能な共生社会システムが求められています。

大量生産・大量消費せず
いいものをみんなで使う

 昔から私たちの暮らしにあった、醤油の貸し借りやお裾分けのような「シェア」が、今はご近所だけでなく、インターネットを通じて、広く可能になりました。誰がどんなお醤油を持っていて、どのくらい貸せるかが瞬時にわかり、個人と個人が直接つながりシェアできるのです。
 2024年12月時点で、シェアリングエコノミー協会加盟社数は400社を超えており、私たちの暮らしのあらゆる場面でシェアサービスが利用できるようになっています。市場の広がりとともに、サービスの細分化も進みつつあります。国内のシェアリングエコノミー市場規模は2032年度には15兆1165億円※に達することが予想されていて、「シェア」という考え方は、循環型の持続可能な共生社会の大切なキーワードと言えるでしょう。※シェアリングエコノミー協会・株式会社情報通信総合研究所との2022年共同調査より かつては「大量生産・大量消費」が経済の原動力であり、一人ひとりが「所有」することに価値があり、マイホームやマイカーを持つことがステイタスでした。シェアリングエコノミーの思想では、モノは所有せず必要な時に借りて使います。
 このシェアの考え方は、決して「ものづくり」と対立するものではありません。シェアによって、さまざまな商品やサービスとのタッチポイントが生まれ、その人が本当に価値を感じる「大事にしたいもの」に出会う機会にもなるのです。ちなみに、ものづくりの現場でも、稼働しない期間に生産ラインを貸し出すといったシェアリングファクトリーも進んでいます。

信頼とつながりが
シェアリングエコノミーの土台

 全国各地を巡り多くの方と対話する中で感じるのは、シェアに対する「地域格差」や「デジタル格差」「世代格差」です。例えば、地方よりも利用者の多い都市部のほうがシェアサービスも充実しています。ただ、ネットを介したサービスが多いため、デジタルが苦手な方にとってはハードルが高く感じられることもあるようです。どこでも誰でも利用できるように、公民連携したモデルづくりが必要です。興味深いのは、世代による意識の違いです。一概には言えませんが、若い世代や、戦後のモノが少ない時代を経験している75歳以上の方は、シェアにあまり抵抗がありません。一方、50~70代前半のバブル時代に成人期を過ごした世代は逆で、所有することにステイタスを感じる方が多いようです。
 シェアの根底には「共有」や「共助」があります。当然ながら新品や完璧なサービスが提供されるわけではありません。サステナブルな取引のためにも、お互いを理解する力、許容し合う力、人どうしの信頼とつながりが大切です。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会が毎年11月末に実施する「シェアエコグリーンフライデー」では、シェアサービス複数社がロゴの色をグリーンにチェンジするなど、「シェアでサステナブルな消費の選択肢」を業界協働で推進しています。

お話を伺ったのはこの方

石山 アンジュさんの写真

石山 アンジュさん

一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事、デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師、コメンテーター。1989年生まれ。「シェア」を通じた新しいライフスタイルを提案し続け、「シェアエコグリーンフライデー」など、これからの消費を考えるきっかけづくりを幅広く発信。政府の委員なども務める。

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