地球環境基金便り No.58(2026年1月発行)
「地域脱炭素」とは、都道府県や市区町村がそれぞれの地域の資源や特性を活かし脱炭素を進めながら、同時に地域の発展や課題解決を実現させる取り組みです。さまざまなアイデア、多彩なプレイヤーによる「地域脱炭素」の取り組みが始まっています。
はじめに、今回のテーマ「地域脱炭素」という言葉や考え方が生まれた背景をおさらいしておきましょう。
「パリ協定」を機に、世界各国で脱炭素/カーボンニュートラルへの動きが加速し、日本でも2023年、2050年を節目としたCO2排出削減目標などが掲げられ、2020年に「2050年カーボンニュートラル宣言」が発表されました。政府は同年12月に、国と地方自治体が協働・共創して地域脱炭素の方策を議論する、「国・地方脱炭素実現会議」を設置します。そこで策定されたのが「地域脱炭素ロードマップ(ページ下部)」です。
「地域脱炭素」は私たちが暮らすまちでの日々の取り組みですが、地球規模で挑む環境保全の大きなうねりにつながる大切なアクションです。
地域脱炭素とは、それぞれの地域がもっている山・川・海などの自然資源や、人・技術といった人的資源など、あらゆる資源を最大限に活用して脱炭素に取り組み、それと同時に、地域の経済を循環させたり、身近な課題を解決したり、日々の防災・暮らしの質を向上させたりして、地域にメリットを生みだしていこう、というものです。
この考え方をもとにして、地域の特性を活かし、脱炭素と地域活性を実現するモデル地域である「脱炭素先行地域」を、2030年までに100カ所以上選定することが目標に掲げられています。
これまでの約5年、さまざまな支援策や予算措置などの後押しもあり、2025年9月現在、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すことを表明した自治体「2050ゼロカーボンシティ」は、日本の市区町村の約68パーセントに当たる1188にのぼっています。そして、「脱炭素先行地域」は40道府県、計90件が選定されています。
この動きが全国に波及する「脱炭素ドミノ」に向けて、各地域でのさらなるアクションが期待されています。
脱炭素への取り組みは暮らしのあらゆる分野で始まっています。
まずは、地域に眠るポテンシャルを活用した「再生可能エネルギー(再エネ)」の導入。そして、ビルや家を省エネと創エネを組み合わせることによって消費エネルギーを実質ゼロにする「ZEB(ゼロ・エネルギービル)」や「ZEH(ゼロ・エネルギーハウス)」です。農林水産分野では、堆肥の高品質化やCO2吸収量を確保する林業活性化などが挙げられます。運輸分野なら、再エネで発電した電力を使ったEV(電気自動車)やFCV(水素と酸素で走る燃料電池自動車)を活用した「ゼロカーボン・ドライブ」などがあります。
すでに、幅広い分野で多くのアイデアが生まれ、各地で計画・実行が進んでいます。
いずれの分野においても関係するのがエネルギーです。そのため、地域密着型の再エネによるエネルギー事業が、地域脱炭素の切り札になるとも言われています。
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