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地域脱炭素 No.58 2025年12月発行

地球環境基金便り No.58(2026年1月発行)

特集テーマ 地域脱炭素

総括インタビュー

CO2を減らしながらまちにいろいろなメリットを 地域が主役!の脱炭素

「地域脱炭素」とは、都道府県や市区町村がそれぞれの地域の資源や特性を活かし脱炭素を進めながら、同時に地域の発展や課題解決を実現させる取り組みです。さまざまなアイデア、多彩なプレイヤーによる「地域脱炭素」の取り組みが始まっています。

地域脱炭素は、まちづくり!エネルギーを地産地消しよう

自然資源を活用した「再エネ発電」で弾みをつける

 太陽光や風力、水力などを利用する再エネは、発電時に温室効果ガスのCO2を排出しないだけでなく、自然の力で再生されるため、化石燃料のような資源の枯渇や世界情勢に影響される心配の少ないことが魅力です。
 この再エネの登場により、エネルギー事業の小規模化と地方分散が可能になり、〝エネルギーの地産地消〟が現実のものとなりました。
 なぜエネルギーの地産地消がよいのか。それは、地域脱炭素で地域にもたらすメリットの筆頭である「経済的メリット」につながるからです。
 これまでの地域の経済活性事業というと、特産品の販売や観光業などによる「外貨を稼ぐ」取り組みが中心でした。しかし、その逆の「地域内→地域外へ出るお金」に目を向けてみましょう。
 地域主体でエネルギーの地産地消を行うことによって、流出していた電気・ガス・ガソリンなど、エネルギーに関するお金を地域内にとどめ、地元で経済循環する仕組みをつくることは、外貨を稼ぐのと同等またはそれ以上のメリットを生む可能性があるのです。

「地域エネルギー会社」で地域にお金を回す

 そのために重要となるのが、地域で再エネを開発したり、需要家に電気を届けたりする「地域エネルギー会社」です。
 再エネを開発することにより、発電時のCO2排出量が減ります。さらに、エネルギー関連のお金の流出が抑制され、雇用も創出。地域経済が活性化、循環します。
 自分たちで発電・蓄電できることで、災害にも強くなりレジリエンスが向上、地域の課題解決にもつながります。多様なプレイヤーが関わる電力事業を中心に、いわば、まちづくりが進んでいきます。

地域内外との連携が重要
地域主体での運営を

 地域での再生可能エネルギー事業(再エネ事業)は、地域にさまざまなメリットを生む可能性がありますが、その一方で、課題も浮き彫りになっています。
 実は地域外の会社が再エネ事業を実施しているケースが少なくありません。メガソーラーの約8割が地域外の事業者によって運営されているというデータもあります(※1)。 ※1 固定価格買取制度導入後のメガソーラー事業者の地域性(櫻井あかね氏:2018)より  もちろん発電事業には専門知識や資金も必要で、地域内だけで解決できないこともあります。しかし、地域の自治体・企業・住民、いわゆる地元の人たちが主役になることが、地域経済循環などの地域メリットを生むためには肝心なのです。
 これから地域脱炭素を始める際には、事業開始時に「地域でできる部分」と「できない部分」を切り分け、できない部分も地域外との連携で徐々に地域にノウハウを蓄積し、何年後に自立運営を目指すかを明確にしたロードマップを描くことが重要です。
地域脱炭素は、地域のメリットがセットであることを忘れてはいけません。

最大のカギは「人」
地域脱炭素の担い手を増やそう!

 地域主体での再エネ事業には「人」が必要です。自治体が地域エネルギー会社に出資などをしている場合もありますが、自治体職員は異動も頻繁にありますし、会社経営などの知見・経験は乏しいのが一般的です。再エネ事業では、やはり地元の民間プレイヤーが主体となることが望まれます。特に地場産業を支える地元を代表する企業や組織などが中心になると、地域脱炭素がうまく進むケースが多いのです。
 地域エネルギー会社は、これまで小規模自治体には存在しなかった「ローカルシンクタンク」の役割も果たしていることが多く、自治体とともに環境政策やまちづくりを推進する力にもなっています。
 さまざまなプレイヤーがつながり、地域に新しい担い手たちが生まれることは、まちの未来をつくることにつながります。

脱炭素をしながらこんな!メリットが生まれています

経済循環!【愛知県半田市】

地元企業が中心となった「ビオクラシックス半田」では、畜産・食品から出る地域の“バイオマス資源”を収集して発電するとともに、発電時に出る排熱・排ガスを隣接するバイオファームで農業利用。副産物として発生するバイオ液肥は地域の農場で利用。経済とエネルギーの循環を実現しています。

ブランディング!【京都府福知山市】

市民一人ひとりが出資者となった「たんたんエナジー」では、太陽光発電事業を展開。地元の観光名所である福知山城の電気を100%再エネにして、観光PRにつなげました。

課題解決!【京都府宮津市】

手付かずだった遊休地をメガソーラーに変えることでイノシシによる獣害を解決。事業説明会では住民から拍手が起こり、その後、地元からの要請により、閉鎖された市内スキー場跡地にも新たなソーラー発電のプロジェクトが進んでいます。

(出所)オムロンフィールドエンジニアリング
レジリエンス向上!【北海道厚真町】

中学校に太陽光発電設備と蓄電池を導入。地震で停電が発生した際にも、電力が供給され、施設を避難所として活用できました。

(出典)https://www.env.go.jp/content/900448329.pdf

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