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地球環境基金便り No.48 (2020年3月発行)

特集LOVE BLUE
~美しい水辺を次世代に~

鼎談

世界規模で海洋汚染が深刻な問題になっています。海洋汚染の原因は産業排水や生活排水、船舶事故などいくつもありますが、なかでも大きな原因のひとつと考えられているのが海洋ごみです。海洋ごみは年々増え続け、このまま何の対策もしなければ、2050年には海にすむ魚などの生物よりもごみの方が多くなると予測されています。

美しい水辺を次世代につなぐために、私たちに何ができるのか。地球環境基金では、企業等の寄付を直接助成に充てる「企業協働プロジェクト」として、2015年から一般社団法人日本釣用品工業会の寄付により、水辺の環境保全活動に特化した助成金「LOVE BLUE 助成」をスタートさせ、全国の水辺の清掃活動などに取り組む団体に助成をしています。

今回は、地球環境基金の活動に賛同され、助成資金を寄付してくださる一般社団法人日本釣用品工業会から会長・島野容三さん、進行役として日本国内・海外の環境政策に携わられている京都大学名誉教授・松下和夫さんのお二人をお招きし、環境再生保全機構理事長・小辻󠄀智之とともに、近年の環境問題について、そしてLOVE BLUE助成への思いや活動への評価、今後への期待などを話し合いました。

写真

今回の鼎談に参加された、(左から)環境再生保全機構 理事長 小辻󠄀 智之、日本釣用品工業会 会長 島野 容三さん、京都大学 名誉教授 松下 和夫さん

釣りに関わる全ての人が一丸となり環境保全活動に取り組む

松下
昨今の環境問題の最重要テーマである「気候変動」は、今や「気候危機」「気候非常事態宣言」といわれるほど深刻です。昨年、日本で相次いだ台風や大雨も地球温暖化の影響といわれています。また環境活動家グレタ・トゥーンベリさんのスピーチが世界に大きなインパクトを与えたのも記憶に新しいでしょう。

気候変動は海にも大きな影響を与えています。海水温の上昇によるサンゴの白化や、生息する魚種の変化といった問題は世界各地で発生しています。また海洋プラスチックごみによる汚染も深刻です。昨年のG20大阪サミットでは海洋プラスチックごみ問題が主要テーマのひとつとして取り上げられ、2050年までに新たな海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。各国政府はもちろん、企業も民間団体も個人も、海洋プラスチックごみ削減への具体的な取組が求められています。

そんな状況のなかで、一般社団法人日本釣用品工業会(以下、日釣工)の「つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業(以下、LOVE BLUE事業)」は、釣り用品製造業界や釣り人など釣りに関わる全ての人々が一丸となり環境問題に取り組む、企業等による具体的な活動として大変意義のあるものだと思います。日釣工は13年にはLOVE BLUE事業の基となる「つり環境ビジョン」という、非常に優れた指針を発表していますが、きっかけは何だったのでしょうか。

島野
釣りは地球の恵みを最大限に使ったスポーツであり、遊びでもあります。釣りを持続的に楽しませてもらうために何ができるのか。あらためて10年ごろから考え始めました。私たちはそれ以前も環境保全活動はしていましたが、各企業の活動のみならず、業界を挙げてさらなる取組を進めるべきではないかとの思いがあり、会員企業等にどんな活動をすべきか意見を募ると、①水辺や海の環境改善、②魚を増やす、③釣り場の環境改善、の3点に集約されました。さらに釣り人も巻き込んだほうがいいのでは、という意見も出ました。釣り人の協力を得ることで、釣り人への環境保全の意識付けにもなると考えたのです。そうして構築されたのが、釣りに関わる商品に「環境・美化マーク」を表示し、その売り上げの一部を事業の財源とさせていただく枠組みです。釣り人の皆さんには「環境・美化マーク」が表示された商品を購入することで事業に参画していただいています。「LOVE BLUE事業」は、釣り業界も釣り人も、釣りに関わる全ての人々が共通の思いをもって持続可能な釣り環境を構築するための社会貢献事業なのです。

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