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地球環境基金便り No.48 (2020年3月発行)

特集LOVE BLUE
~美しい水辺を次世代に~

鼎談

地球の恵みを最大限に生かすのが釣り
だからこそ、地球に恩返しをしたい

一般社団法人日本釣用品工業会 会長
株式会社シマノ 代表取締役社長

島野 容三(しまの ようぞう)さん

1948年生まれ。慶應義塾大学商学部卒。74年に島野工業株式会社(現・株式会社シマノ)に入社。81年同社営業企画部長、86年同社取締役営業企画部長、87年同社取締役釣具国内営業部長、90年同社取締役釣具事業部長、95年同社代表取締役専務取締役を経て、2001年同社代表取締役社長に就任。現在に至る。

松下
消費者にお金の負担をお願いするというのは、企業にとっては売り上げに影響する大変な決断です。なかには抵抗する企業もあったのではないでしょうか。

島野
確かに「そんなことして効果はあるのか」と疑問を訴える企業もありましたが、粘り強く説得しました。「これからは何もしなくても魚が釣れる時代ではなくなる。もっと持続可能な釣りにしていくためにはどうすべきかを業界自ら考え、釣り人の皆さんにも考えてもらわなければ、釣りが楽しめなくなる時代が来るかもしれない」。そういうことを繰り返し伝えた結果、納得してもらえました。

実は他にも抵抗はありました。LOVE BLUE事業ではプロダイバーによる水中クリーンアップ活動に力を入れていますが、始めたばかりのころは、活動の現場となる地方の自治体や住民、漁業関係者から「結局自分たちの商売のためでしょう」という懐疑的な見方をされることが少なくなかったのです。しかし地道に活動を継続し、これまでの7年間で活動日数は延べ800日を超えました。回収したごみは、ルアーや糸など釣り関係のごみよりも、圧倒的に不法投棄や生活ごみが多くなりました。「釣りと関係ないごみを回収するのはどうなのか」という声もありましたが、海を汚すという点では同じですから、全てのごみを回収しています。こうした行動が評価され、自治体や漁業関係者の方々にも少しずつご理解いただけるようになりました。今では皆さん大変協力的で、ときには相談を持ちかけられることもあり、とてもいい関係が築けています。

松下
15年からは地球環境基金の「LOVE BLUE助成」も始まりますが、日釣工が地球環境基金に関わるきっかけは何だったのでしょう。

島野
独自の活動以外にも、もっと広い視野でやりたいという思いがありました。ですが私たちだけでは分からないことも多く、地球環境基金であれば幅広い分野でNGO・NPOの活動を支援され、募集や審査など公平・公正な助成ノウハウもお持ちです。そこにいくばくかのお手伝いができればと考えたのが発端です。

小辻󠄀
ありがとうございます。「LOVE BLUE助成」は地球環境基金の企業協働プロジェクト第1号で、これまでの5年間で延べ48団体(団体数では25団体)、5000万円以上を水辺の清掃活動などに取り組むNGO ・NPOに助成しております。団体の皆さんからは「人間関係の輪が広がった」「釣り人の皆さんが私たちの活動を支えてくれるのを実感できる」といった声が寄せられています。地道に水辺の清掃活動に取り組む方々に良い助成ができ、日釣工をはじめ、釣り人の皆さんなどLOVE BLUE事業に参画されている全ての方々からの支援に大変感謝しています。

松下
地球環境基金は資金の助成だけでなく、活動の手法やネットワークの作り方をレクチャーするなど、いろいろな側面で民間団体を支援しています。「LOVE BLUE助成」はそういったノウハウをもった地球環境基金と、全国の水辺の環境保全に取り組む団体に資金を援助したいという日釣工が結びついた非常に素晴らしい事例です。ぜひこういった活動が他の産業界や自治体とも結びついて広がってほしいと思います。

LOVE BLUE助成はまさに
今、世界が求めている「具体的な行動」

京都大学 名誉教授
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー

松下 和夫(まつした かずお)さん

環境省(旧環境庁)、OECD環境局、国連地球サミット(UNCED)事務局(上級環境計画官)等勤務後、2001年から13年まで京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)。持続可能な発展論、環境ガバナンス論、気候変動政策・生物多様性政策・地域環境政策などを研究。現在、日本GNH学会会長、「T20気候変動・環境タスクフォース」共同議長、(独法)国際協力機構(JICA)環境ガイドライン異議申立審査役、(一社)日本釣用品工業会理事、(独法)環境再生保全機構地球環境基金運営委員、等。

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