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地球環境基金便り No.48 (2020年3月発行)

特集LOVE BLUE
~美しい水辺を次世代に~

鼎談

釣り人の熱い思いを受け止め
有効に使っていかなければならない

独立行政法人環境再生保全機構 理事長
小辻󠄀 智之(こつじ ともゆき)

1956年福岡県生まれ。早稲田大学商学部卒。79年に全日本空輸株式会社に入社。成田空港支店総務部長、本社関連事業室業務部長等を経て、2008年本社総務部長、10年執行役員 福岡支店長を歴任し、13年ANAファシリティーズ株式会社代表取締役社長に就任。19年より現職。

釣り人の思いを受けたNGO・NPOの活動に期待

松下
15年に国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、同年のCOP 21では気候変動に関するパリ協定も採択され、今、世界がいわゆる成長第一主義から転換しようという動きになっています。ところが現実はそう簡単ではなく、企業は日々の収益を求めることに、個人は生活の維持に追われています。これからはもっと長期的なビジョンで社会を変えることを考える必要がありますが、今後についてはどうお考えですか。

島野
今考えているのは、釣り人一人ひとりにもっとできることがあるのでは、ということです。ごみを捨てないだけではなく、釣り道具を大切に使うなど、個人でもできることがあります。「自分一人くらいいいじゃないか」という考え方ではなく、釣り人一人ひとりが環境保全のために何ができるかを考えるよう意識変革するにはどうすればいいか。そこに取り組む段階にきていると感じています。

小辻󠄀
LOVE BLUE助成をスタートして5年。これまでに助成を受けた団体の清掃活動参加者は延べ5万人を超え、回収したごみは250トンを超えました。間違いなく成果はあがってきています。また今後もNGO・NPOが継続的に、自立した形で活動をしていくためには、さらなるサポートを続ける必要があるとも感じています。若い担い手不足の問題やネットワークの形成、そして事業の効率化など、まだまだ課題はあります。NGO・NPOの方々が動きやすくなるサポートとは何か。常にそれを考えながら、私たち自身が研鑽していく必要があると思います。

松下
昨年末マドリードで開かれたCOP 25では、グレタさんのような若い人たちから「議論とおしゃべりはもう十分やった。私たちは具体的なアクションを求めている」という声があがりました。その意味では、日釣工も、助成を受けて活動しているNGO・NPOも、すでに具体的なアクションを起こしているといえ、私は将来に対して明るい希望が出てきたと感じます。

最後に、LOVE BLUE助成を支えている釣り人の方々に向けてひと言お願いします。

小辻󠄀
LOVE BLUE助成団体の皆さんからは「釣り人の自然への愛情を感じる」という声がよく聞かれます。私も身近に釣りを愛する知人がいますが、釣り好きの皆さんは本当に自然を大切にされ、その思いの強さに心を打たれます。釣りを愛する人たちが環境に寄せる思いは、NGO・NPOの皆さんにもしっかり伝わっています。釣り人が釣り用品を購入することで環境保全に貢献するこの仕組みが、LOVE BLUE助成の素晴らしいところであり、皆さんから寄せられた資金は今後も地球の未来のために有効に使っていかねばと思っております。

島野
釣り業界は決して大きな業界ではありませんが、できる範囲で環境保全に貢献したいと考えてきました。釣りは地球の恵みを最大限に活用するものなので、ある意味、地球への恩返しという思いも込めて私たちはこの事業を進めています。NGO・NPOの皆さんにも釣り人のそうした思いを理解していただき、これからも水辺の環境改善にもっともっと取り組んでもらえれば、こんなにうれしいことはありません。

「LOVE BLUE 助成」とは

一般社団法人日本釣用品工業会が「LOVE BLUE ~地球の未来を~」をスローガンに、「つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE 事業」の一環として公益財団法人日本釣振興会と協働で取り組む、水辺の環境・美化事業です。
釣り用品メーカー等が国内で販売する釣り関連製品に「環境・美化マーク」を表示。マークが表示された商品にメーカー等が一定の課金をし、その売り上げの一部が事業の財源となっています。
日本釣用品工業会より地球環境基金に寄付された資金を基にして、「LOVE BLUE助成」は「企業協働プロジェクト」の第1号として実施されています。

  • 「ECO」というロゴを魚の体に見立て、魚の頭と尾ひれをつけ、その上には「環境・美化」、その下には「協力商品」と魚を囲むように配置されているマーク

    環境・美化マーク

  • 「ECO」というロゴに頭・尾びれをつけたものの下に、「LOVE BLUE 地球の未来 つり環境ビジョン」と書かれたマーク

    LOVE BLUE 事業ロゴマーク

LOVE BLUE助成団体は、全国で水辺の環境保全活動に取り組んでいます!

LOVE BLUE助成実施状況
  団体数 交付決定額
2015年 8団体 900万円
2016年 8団体 900万円
2017年 8団体 900万円
2018年 12団体 1350万円
2019年 12団体 1350万円
水辺の清掃活動実施状況
  2015 2016 2017 2018 2019
(上半期)
合計
参加人数 18,249 8,438 4,916 4,230 18,364 54,197
ごみ集積量
(トン)
71 14 53 46 70 254

(注)2015~19年度上半期までの団体の実績から集計。ごみ袋1袋(45リットル)を8.5kg(千代田区ごみ換算表による)、軽トラック1台分を350kg(最大積載量)で換算した。

2019年度のLOVE BLUE助成団体は北は山形・宮城から南は鹿児島まで、全国で12団体が活動しており、水辺の環境保全活動に取り組んでいます。

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