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地球環境基金便り No.51 (2021年9月発行)

特集 生物多様性は、今

NGO・NPOの活動事例から
特定非営利活動法人 喜界島サンゴ礁科学研究所

喜界島で培った地域主体のサンゴ礁保全活動で
奄美群島全体を自然と人間の共生先進地に

学校教育との連携で子どもが島に誇りをもてるように

研究所では島の未来をつくる子どもたちへの教育も重視し、島内の複数の学校で海洋学習の機会を設けています。研究所から最も近い小学校では、5年生が一年を通じてサンゴについて学びます。座学だけでなく宿泊学習の機会を利用して実際に海に入ってサンゴを撮影。自分たちでサンゴの種類や生態について調べて発表します。中学校では生徒が自らサンゴ養殖の苗をつくり、海に沈めて成長を観察。サンゴが成長する時間を体感し、自分たちの島がどのくらいの時間をかけてできたかを想像してもらいます。学校での活動はすでに5年以上継続し、島にはサンゴに詳しい子どもがどんどん増えています。喜界島の子どもの多くは、いずれ島外に出ます。そのとき自分の島を誇りに思えるようになってほしいと思います。

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最近は海に関心が薄い子どもが増えている傾向にあるが、学校での海洋学習を通じて海と触れ合うことで、親しみや誇りを持てるようになっていくという

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研究所には「サンゴミュージアム」と「サンゴカフェ」を併設。不定期に学習会「サイエンスカフェ」を開催し、リーフチェックなどの調査の結果を公開している()。また町の広報誌『広報きかい』では毎月1ぺージを研究所のページとして使わせてもらい、研究所の活動を広く島民に知らせている(

喜界島のサンゴ礁保全活動を奄美群島全体に広げていく

これまでの活動で、喜界島では行政も住民もサンゴ礁保全への関心が高まっていると実感しています。奄美群島各島の行政機関や学校からも「喜界島をモデルとした環境保全活動を実施したい」という声が多く寄せられるようになりました。また奄美大島と徳之島がこの7月に世界自然遺産に登録されたこともあり、奄美群島全体で海に対する意識が高まっています。この機運を活かし、サンゴ礁保全活動を各島々に広げていきたいと考えています。

奄美群島には、既に奄美市を事務局とした「奄美群島サンゴ礁保全協議会」という団体があります。私たちが喜界島に来る以前、1998年に世界的なサンゴの白化現象が起こり、奄美群島のサンゴも被害を受けたことをきっかけに立ち上がりました。各島で保全活動に取り組む方々は、地元に根付き地元のサンゴを熟知しています。一方私たちは研究者であり、サンゴ関連の専門家との広いつながりがあります。そこで私たち研究所がハブとなり、各島で活動している方々から今起きている問題やニーズを聞きとり、それらの課題解決に向けて地元の方々と研究者や専門家をつなぎます。こうして構築されたネットワークを活用し、奄美群島全体でサンゴの保全活動や教育に取り組む輪を広げていきたいと考えています。

将来、奄美群島の島々が、サンゴ礁をはじめとした自然と人間が共生していくための情報を世界に発信できる場所になり、自然との共生を目指す人たちが学びに集まる場所になってほしいと願っています

特定非営利活動法人
喜界島サンゴ礁科学研究所

活動名
奄美群島における環境サスティナビリティを目指したサンゴ礁保全と教育、地域システムの循環形成
団体所在
鹿児島県大島郡喜界町
URL
https://kikaireefs.org/
SDGsの目標
  • 04 質の高い教育をみんなに
  • 08 働きがいも 経済成長も
  • 11 住み続けられる まちづくりを
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 14 海の豊かさを守ろう

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