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地球環境基金便り No.52 (2022年3月発行)

特集再生可能エネルギーの現在と未来
~脱炭素社会の実現に向けて~

NGO・NPOの活動事例から
任意団体 やまがた自然エネルギーネットワーク

再生可能エネルギーをつくる人、使う人の輪を広げ
山形から安全で持続可能な日本をつくりたい

やまがた自然エネルギー学校が再エネ取り組みへの“発起点”に

やまがた自然エネルギー学校には、再エネを学ぶことだけではなく、その場を介して山形県内で再エネの導入に関心をもつ人を発掘し、新しいつながりをつくるという重要な役割もあります。基本的には講師の話を傾聴するセミナースタイルで開催することがほとんどですが、プログラム終了後には学んだことをきっかけにざっくばらんな雑談や意見交換が始まり、そこで新しいつながりが生まれていきます。また参加者のなかに具体的に再エネ導入を検討する個人や地域があれば、団体として相談にのったり、事業化を支援することもあり、実際にそこから新しいプロジェクトが動き出しています。やまがた自然エネルギー学校は、単なる再エネの学びの場ではなく、県内の再エネ取り組みの“発起点”となっています。

当初は会場を設けて人を集めて開催していたやまがた自然エネルギー学校ですが、コロナ禍で直接集まることが難しくなり、今はオンラインで開催しています。直接顔を合わせて、ひざを突き合わせて話すからこそつながりが深くなるという側面もあり、オンラインでどこまで深い学びや関係が築けるか不安がありましたが、いざやってみるとかなり活発な意見交換ができました。また県外からの参加者が増えたり、海外に在住する講師の方に現地からお話ししていただいたりなど、オンラインならではのメリットを生かした活動もできています。

やまがた自然エネルギーネットワークが
支援に関わった再エネ事業

写真1

ソーラーシェアリング

団体の幹事で農家の秋葉慶次さんが、自身の田んぼに手作りしたソーラーシェアリング。約800平方メートルの田んぼに高さ3メートルの支柱を立て、約300枚の太陽光パネルを設置している。ほかにも耕作放棄地にソーラーパネルを設置し、その下でわらびを育てるなど、農家として再エネ導入に積極的に挑戦している。「米は儲からなくなり、耕作放棄地も増えている。そんな農家にとって発電は、定期収入が得られる魅力的な事業だと思う。ただソーラーシェアリングをうたいつつ、発電だけで農作物は育てない事例も少なくない。農業と発電を両立させるために、今後どのような形で広めていくべきか考える必要がある」と秋葉さんは語る。

写真2

さくらんぼ市民共同発電所

団体が企画・運営する発電所。市民から出資を募り、地元の人も参加して組み立てた、まさに手作りの発電所。発電した電力は全て売却し、収益は出資したサポーターや地元農産物の買い取りに充てている。また災害時用にコンセントを設け、近隣3つの自治会と災害時の電源利用に関する協定を交わしている。

写真3

鶴岡市三瀬地区木質バイオマスエネルギー自給自足事業

山形県内で唯一、自治会として再生可能エネルギーとSDGs に取り組む三瀬自治会。地域の森の木々からつくられる豊富な「木質バイオマス」の活用で、エネルギーの地産地消に挑戦している。薪ストーブ設置家庭の増加やコミュニティセンターへの薪ボイラーの導入、保育園への薪ストーブの導入など、地域が少しずつ変わりつつある。

企業とも積極的につながり地域と調和した再エネ導入を加速

今、日本国内では再エネ導入に向けて特に企業の動きが活発になっています。私たちはこれまで地域や個人を対象に活動してきましたが、導入には時間もお金もかかるため、決して簡単ではありません。そこで今は資金もスピードもある企業との連携を模索しています。山形を知る地元企業がベストですが、県外企業でも地域住民との対話を重視し、地域の実情を踏まえた再エネ事業に取り組んでくれるような企業と対等に協力し合えれば、互いにメリットがある良い関係になれるのではと感じています。私たちはこれまでずっと山形という土地でどう地域と調和した再エネを導入できるかをテーマに活動してきました。今後もその方針は継続しながら、地域や個人はもちろん、新たに企業とも積極的につながり、さらに再エネをつくる人、使う人の輪を広げていきたいと考えています。

写真4

(左から)事務局次長 山田幸司さん、幹事 秋葉慶次さん、代表 三浦秀一さん

任意団体
やまがた自然エネルギーネットワーク

活動名
地域で持続可能なエネルギーを学び実践する「やまがた自然エネルギー学校」
団体所在
山形県
URL
https://yamaene.net/
SDGsの目標
  • 07 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 09 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられる まちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

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